[in Japanese 日本語]
松本を出発した3日目の朝、まだ市内と思われるところで後方の車にクラクションを鳴らされた。敵意を感じた。
道は広くはない。対向車もいる。サイドバッグをつけて相当幅広になって走っている私を後方の車が追い越すことはできない状況であることは理解できた。クラクションの意味は「歩道にどけ!」であると受け取った。対向車はあるといってもほんの数台、数秒待つだけである。しかも私を追い抜いても前方には車が列を成していた。「こんな状況でか弱いチャリをあおるとは、ゆ、許さん!」人間が小さくなった私は頑なに車道を走り続けた。
私を追い抜くときにさらに2度クラクションを鳴らしたその車に、次の信号で追いついてしまった。信号機まで距離を残し、不自然にその車の隣に私は停車し、車を覗き込み、運転席と助手席に座る若い二人に不機嫌にまくしたてた。車の中では二人がキョトンとしてこちらを見ている。(車内と車外ではクラクションひとつの重さがこんなにも違うものか・・・。)信号が青に変わると私は再び走り出した。
最近、自転車に乗るヒトの交通マナーが取り沙汰されているが、それは車のドライバーも歩行者も同じこと。「みんなもっと余裕をもたんといかん!」と自分も含めて思った次第。
この話には続きがある。その後しばらく進むとまたすぐ背後に車の音が聞こえた。今度の車は明らかに大きい。またしても道は細く、対向車線にも車があふれていた。
だが、今度は私を追い抜かそうとする”気配”が感じられなかった。私がプレッシャーを感じない程度の後方でその車は私と全く同じ速度(20km/h程度かな)で進んでいる。その車の後ろに長い列ができていることは容易に想像ができた。対向車線の車は途切れる気配がない。「うーん、参ったな。」
しばらーく進むと交差点があり、ようやく私は車線を外れ停まった。追い抜いていくトラックの運転席を見上げると運転手が私に向かって軽く会釈をしていた。(うーむ、あういうふうにありたいものである。)私の気持ちは少しまた大きくなった。
ところで今回のツーリングのタイトルが決まった。(というかツーリングの最中に思いついていたのだが)『尺取むし2』である。要するに今回は昨年いけなかった所、行き忘れたところを巡っていたのである。
ツーリング”尺取むし”も「1」、「2」ときたが、シリーズ化はしない。理由は簡単である。このツーリングには明確なテーマがないのである。なので、この名前は”2”でおしまい。
アップロードはとーぜん”おくのほそ道 -ステージ2”の後になるのでしばらく先になってしまいます(6月ぐらいかなぁ)。楽しみにされている方、もーすこしお待ちください。